この十年で香川県民のソウルフードになった骨付鳥入門
こんにちは!!骨付鳥エヴァンジェリストです!!!!!
本日は、俺たちの香川県を広く知ってもらうための記事です!!(投稿者は香川県出身ですが、埼玉県在住のほうが香川県在住歴より長くなっています)
骨付鳥とは?
画像を見てもらったほうが早いです。これです。
ようするに鶏肉の丸焼きです。
上の画像が「おやどり」、下の画像が「ひなどり」です。
おや、ひなの違い
骨付鳥はおやどり、ひなどり(店によっては若鶏とも呼称されます)の二種類がございます。
おやどりは歯ごたえがあって肉汁も多く、ご飯のお供というよりも酒のアテになります。
ひなどりはその反対でジューシーでかぶりついて食べると胡椒のスパイスと肉汁が口いっぱいに広がるのでご飯として食べるのがおすすめですが、どちらが好きなのかは人によります。
左党はおやどり、それ以外はひなどりを好む傾向にあります。
どのようにして骨付鳥を食らうのか
そもそも骨付鳥はハサミなどで切ってお箸で食べるという上品なものではありません。(個人の感想です)
骨付鳥は根本を紙ナプキンで包み、それを持ち手にしてかぶりつく食べ物です。
下品とか上品とか気にせずかぶりつく食べ物です。
かぶりついた瞬間に肉汁とスパイスの暴力で「おいしい」という感情以外が生まれてこないのです。そういうものだと思ってかぶりついてください。
骨付鳥を10倍おいしくいただく方法
これ(むすび)を注文して……
こうじゃ……
鶏肉の油を十分に浸して後、それが染み込んだご飯を食べる。
犯罪的なカロリーを感じつつも旨みが脳髄を焼く。そのときに感情は一つしか持たない。
「美味い。美味すぎる……」
これを覚えてしまったらもうあなたは骨付鳥マスターです。
数ヶ月に一度は骨付鳥を摂取し、日々の活力を得て行きましょう。香川県民もそう頻繁に食べるものではないです(一鶴は香川県民でもごちそうですし、なんならデートスポットです)
併せて頼みたいメニュー
骨付鳥は注文を受けてから調理を始めるので10〜15分ほど待ちます。そのため、到着するまでにサイドメニューで腹ごなしをしておきましょう。
(ちなみに一羽目が到着した後ただちに二羽目を注文してシームレスにおやひな両方を楽しむ技術も存在します)
ということで私としておすすめのセットがこちらになります。
ビール(大)
骨付鳥はビールとの相性を最大化させることにすべてをかけている食べ物です。まずはビールを頼みましょう。
次にこちら。
香川県名物の醤油豆。
醤油豆はうまいぞ…… 自分としては醤油豆とてんぷら(ちくわのような練り物のことを香川県では天ぷらといいます)が高松市のソウルフードなので、頼んでみていただきたい。
醤油のしょっぱさと豆のほんのりとした甘さがビールに合うのとおやつにもいいのでぜひ頼むようにしましょう。
最後に
残念ながら首都圏には一鶴が一店舗しかないです。
横浜のみです。
この一年で印象に残った本十冊(後編)
ポケット六法(令和2年版)
はじめて人の金で買ってもらった条文集。
自分は判例六法派なのだが、買ってもらえるならば文句は言うまい。
それ以上に前からなりたかった「条文集使って金を稼げる仕事」につけたんだなあ……と感慨ひとしおであった。その数週間後なにもわかってないことが気付かされひたすら勉強勉強またきて勉強の日々がはじまった。
スタンダード所得税法
何故かお勉強しないといけなくなった所得税なんですが、自分のこだわりとして、やり方よりも前に理論を知っておきたいと思って買った本。正直な話仕事ではビタイチ役には立っていないが、ある日点と点が先で繋がったわ……わかったぞ!!となる日が来るのでこういう仕込み作業のようなものはほんとに必要だなあ……と思って、なにか調べるときはこれで概説を読むようにしてます。
神となった日本人
これはいわゆる「神社で祀られてる日本人」を分類した本。ざっくりと分けると、祟られるから祀った人と功績を讃えて祀った人の2種類があるよね、ってやつなのですが、こういう本と出会えて嬉しいのはこれまでぼんやりと分けていたものが体系的に分類されることで自分の中の理解を行う上で一つのものさしが形成されることです。
読み物としても分量はさほど多くもなく、サラッと読めるので暇つぶしにちょうどいい感じでした。
ルワンダ中央銀行総裁日誌
60年代のルワンダ中央銀行総裁になられた方の回顧録。ルワンダといえばその後ルワンダ虐殺等があるのだが、その遠因となった大統領と密接な関わりを持った筆者がその時のことを書いた記事も増補されているので、本編のなにもないところから着実に金融であったり財政を整えていくところもドラマチックで面白いが、事件の当事者を知っている、関わりがあった、知遇を得たとなると、やはり事件の見方は変わるもんだなと感じた。
個人的には本編よりもそちらのほうが強く印象に残ったし、意見を聞くときはどのような人であれ何かしらのベクトルが作用していることを念頭に置くべきであるという教訓を得た気持ち。
理想はいつだってきらめいて、敗北はどこか懐かしい
これ読んだのが去年の夏なんですが、手汗をかきながら読んだ本はこれがはじめて。
革命家っていう人種はあまりいい印象は持たなかったがここまでエキサイティングな人生はおくってみたくもあり、おくってみたくもなし。
チーズとカレーに弱いのでチーズナンを食べに行く
好きな食べ物はカレーとハンバーグとオムライス! と言い切ってしまう小学生男子の舌を持つ私ですが、どうにも食わず嫌いしていたものがあって、それがチーズナンでした。
チーズ大好きなんですが、あのちぎって食べるナンはいくら食べてもお腹おきない(お腹がいっぱいにならない、という意味の方言)やん……と思ってナンおかわり自由と言われてもナンよりもライス選んじゃうぐらいナンに心を惹かれない感じでした。
きっかけは緊急事態宣言
たくさんクライミングしてもう歩くのも無理!!ダイエット関係なくカロリー入れないと身体が作れない!!ってなったときによく行くカレー屋さんが昼はカレーバイキングやってくれていたので、カレーライス生活を満足におくれていたのですが、今般の緊急事態宣言でカレーバイキング中止。カレーがお腹いっぱい食べられない状態になり、しばらくは我慢できていたのですが、もはやカレーなしでは生きていけない身体になってしまった私、そろそろカレー食べたいし、米だけだとお腹いっぱいにならないからナンを食べまくるしかないのでは…… と思ってチーズナンを試してみたわけです。
愛すべきカレーバイキング。これを食べれば夕飯もいらないぐらいパンパンになれるのでデブ活がはかどる
これもうカレーいらないよね
ということで食べに行ったチーズナンですが、こんなのがきました。
圧倒的ワオのひとこと。こんなん絶対好きになるよ……
そしてそれにつけるキーマカレーの美味なることよ。
最近はマトンが自分の中で大ブームなのでマトンキーマカレーは自分のために作られているのではないかというぐらいに好みの味付け。
強いて言うならもっと辛いと嬉しいかな……
r.gnavi.co.jpこれ多分すごく通うことになりそうなのでみなさんにもご紹介しておきますね
この一年で印象に残った本10冊(前編)
数多い自分の趣味の一つに読書というのがあります。数字が増えていく預金通帳を眺めるのも楽しいんですが、文字で追う物語や新しい知見も自分の頭の中に溜め込んでいくのが好きなので、そんな自分の中でこの一年間において読んだ本の中で印象に残っている本をご紹介。Amazonのリンクは貼りますがそこから買っても自分には一銭も入りません。
月は無慈悲な夜の女王
これ一年のうちに、というか毎年一回は読む本の一つ。(その中に当然エリア88と銀河英雄伝説があります)
大雑把なあらすじとかはグーグル検索するといろんなところに書いてあるので割愛しますが、自分が愛してやまないアニメである
「太陽の牙ダグラム」と「機甲戦記ドラグナー」の元ネタの一つであることや、「無料の昼食は存在しない」という文句をしっかり解説してくれるくだりなど、自分の思想信条を構成する一つの柱となっている本。これを読んで、体制におもねっている今の立場ではいかんだろ、と奮い立たせている。
独学大全
世に氾濫する自己啓発本、メソッド論の辞典。これは通読するというより目次をめくって気になるやつを読んでいくという感じで読んでいくのが一番いいと思う。
これ一冊あれば「独学」関係の本はもういらない。
old but gold
ロックアンドスノーで連載されていた杉野保さんの記事が没後ようやく本になった。
名ルートを杉野保さんが再登する記事なのですが文章力といい、その臨場感といい「登りたい」と思わせるものが多いし、この影響で自分も城ヶ崎海岸通いをしている。そして吉田和正信者になっている。
ボルダー課題はないけれど、インドアクライミングしかやってないという人は一個でも読んでみてほしい。その中で気持ちが動いたら外岩に行こう。
ブルーピリオド
美大受験マンガが二部に入り美大で悩むマンガになってきてさらに面白くなってきた。
学生の頃に限らず、社会人になっても仕事に慣れたときに「おれはなにがやりたいんだ」と悩むときがあるけど、それを見つけて、目指して、その道に進めたときにぶつかる「ずっと前からその道を走ってきた同年代」とどう戦うかはこれまでの漫画でなかなかないよなあ……と思いながら読んでいる。
そして今まさに分野は違えどその渦中にいるので新刊は出ては「そうそう、その悩み抱えるよな」って安心してしまう。
不動産の価格がわかる本
一年の時を経てようやく自分は不動産と建築の世界に戻ってこれた。(転職までして戻った)そして今回は任期のない、望めば一生やれる環境に!こりゃ勉強するっきゃねえ!!
と思って買った本。
不動産鑑定評価ってよく使うけど、実際どう評価してるんやろ……というのを不動産のジャンル別に解説してくれている本。
これ一冊で不動産鑑定評価は読めないし書けないけど、こういう仕組みで決まっているのかとわかるだけで仕事のときのものさしが増える。
新社会人を見るときに話すお金のこと
新社会人も仕事に慣れて、初任給ももらい、さて、この(おそらくは人生で始めてもらうであろう)大金をどうしようかしらん、と考えることになろう。
自分がとあるSNSでこの時期になるとだいたい述べることをここに纏めておきたいと思う。大抵はどこかの本の引き写しであったり、自分の数少ない経験則からであるので見覚えはあるかもしれないが、いちいち投稿するのもしんどいし、ここに追記しておけばまあいいかという寸法である。
貯金はどれぐらいするべきか
これは手取りと生活環境にもよるので、金額で基準を決めるのはあまり汎用性がない。
なので、先人の知恵を借りて自分はこのように貯金する金額を決めている。
「手取り金額÷4=天引き貯金額」
これは本多静六先生の「私の財産告白」という本に書いてある由緒正しい方法である。
詳しくはここに書いてあるので、気になったら読んでほしい。株の話はともかく、貯蓄する!と決めたらこれぐらいは無理なくやれるはずであるという指標になる。
ひとまずどれぐらい貯めればいいか
働かなくても今の生活を一年半維持できる金額を貯めよう=手取り×18ヶ月分は現金で保有しておこう
病気になって仕事ができないとき、仕事を辞めたくなったとき、支えてくれるのは恋人でも家族でもなく貯金である。株や投信やらがあるが、これらは余裕資金でやるものであるため、まずは現金でこれだけは貯めておけば、目先の金に気にする必要はまずなくなる。
どのように貯金するべきか
サラリーマンで財形貯蓄(給料から天引きして貯金してくれる制度)があるのであれば、これを使うのが一番確実にお金が貯まる。企業によっては貯金利率がものすごいところもあるが、財形貯蓄のいいところは利率ではなくて、何もしなくても勝手に貯金してくれるところであるので利率に関わらず利用できるのであれば利用したほうがいい。
財形貯蓄制度が使えない場合は銀行で利用できる積立定期預金を利用して給料日に自動的に一定額を積み立てるようにするのが一番いい。
貯金とは意思によって行うものではなく、制度的に行わなければ長続きせず、そして生活に無理のない程度にやらなければ積立額が増えない。手取り四分の一で生活ができないのであれば生活水準を下げるのが手っ取り早いが、それでも厳しい場合はたとえ1円であっても積立るという意思が大事である。
NISAやらiDeCoやらどうすればいいの
金融商品の非課税枠制度がNISAであり、確定拠出年金(自分で年金を積み立てる制度)がiDeCoであるが、年収が350万円を超えたあたりからiDeCoのほうが税制面でも有利になってくる(iDeCoは積立額が全額所得税の所得控除になる)。450万を超えたあたりからどちらも使って貯蓄していけば問題ないが、iDeCoは年金積立なので、新卒社員の場合は後回しでも全然いい。それよりも旅行したり勉強するお金に回したほうが最終的な経験値も転職時のネタにもなるのでおすすめである。
今はまだない住民税の話
例外はあるが、手取り額が年間の住民税額になると考えればそこまで大外れしない。新社会人の場合は現在は住民税を天引きされていないので、今の手取りを12で割った金額が来年から毎年勝手に天引きされると思っておこう。パンチ効いた税金がエグい。
生命保険、入るべきか入らざるべきか
入るのであれば共済保険以外は趣味としか言いようがない。所得税において生命保険料控除が使えるがその数倍も保険料に払うことを考えるとコストパフォーマンスは悪い。ただし、個人年金保険(養老保険)はiDeCoみたいなものなので加入しておくと、年老いた自分が楽できるので検討の余地はある。
保険屋のおばちゃんの誘いに断りきれない場合は個人年金保険に入ろう。
それでも金融商品をやりたいなら
今狙ってる株価の終値を記録しておいて、半年後上がっていたならばやってみてもいいと思う。下がっていたならば才能がないのでおとなしくまずは貯金しよう。
日本株は残念ながら長期的にみてもダウントレンドなので、トレンドフォローでの投資は確実に失敗する。日本株で稼ぐなら、株価が下がることを見込んで投資したほうがいいがそれで設けるには信用取引を行う必要があり、その取引を行うためには保証金を差し入れる必要があるのでなかなかにハードルが高い。
相場感を養いたいのであれば、投資信託をボーナスで数万円買うなどしてやってみるのも一つの手段だが、基本的に手数料やらなんやらで損はするものと思うべきではある。日本株でやるならばの話だが。
手っ取り早く貯金額を上げるためには
年収をあげよう。そのためには実績とタイミングなので、貯金も大事だが、見栄えのいい職務経歴も必要になってくる。
つまりは目の前の仕事をがんばっていくしかない。
指皮がなくなるとこうなる
悲しいことに、クライミングしていると摩擦力を生み出す代わりになくなっていく指先の皮膚(これを指皮といいます)がなくなってしまった状態でクライミングをしてしまい、散々な結果になりました。
今回は、クライミングしていない人にもわかるように指皮がなくなるとどうなるのかを説明するていで自分へのセルフケアを怠った戒めとしたいと思います。
1 スローパーが持てなくなる
スローパーとはクライミングにおいて初心者の一つの壁となっている、掴みどころがなく、丸みを帯びた手がかり(ホールドといいます)のことです。
スローパーの持ち方は単純で、指というか腕全体でスローパーに対して上から荷重をかけることによりむりやり安定したポジションを得るというのがセオリーの一つとなっています。
さて、ここで指皮がないとどうなるでしょうか。そうです、荷重をかけても滑ってしまい、安定するどころか転げ落ちます。それはもうはじめたてのクライマーでもやらないようなおちかたをします。
こうなるともう大小すべてのスローパーは持てなくなるのでジムによっては大半の課題が楽しめなくなります。
2 大きいホールドが全部滑る
指皮で摩擦力を得て登っている以上、指皮がなければホールドにたいして摩擦力を得られなくなってしまい、結果持てているホールドが滑って持てなくなります。一発で適切な位置へ固定できたとしても次のムーブにうつるときの些細なブレをきっかけに滑ります。
これがなんとも屈辱的というかこれまでやれてきたことができていないことへのいらだちに繋がります。
クライミングやってきてこのやれてたはずのことがやれないことが一番辛い。死のうかなと思うほど落ち込みます。
3 指が破けて回復に時間がかかる
クライミングやってて一番しんどいのは怪我による強制的に登ることができなくなることですが、指皮も酷使すると指に穴が開く状態になります。穴が開くと言っても空洞ができるわけではなく、皮がめくれてそこから血が出ることはままあります。血が出たらもう指皮がないどころではないのでクライミングは中止となってしまうし、そこから深追いしても成果は得られることはありません。つまりレスト(休息日)する必要が出てきます。これが登るのが大好きな人間からすると辛い。辛いからこそここに至るのを避けたいが目の前にクライミングウォールがあると登ってしまうというジレンマ。登る前からメンタルスポーツははじまっているのです。
汚いけれど、指皮が雲散霧消した自分の指。
指先が赤くなり、指にはタコや穴があき、スマホの指紋認証がきかなくなる。
クライミング後のケアが本当に重要
上述の通り指皮がなくなると登れるものも登れなくなるし日常生活に支障が出る。故にそうならないようにするケアが大事であると痛感している。
自分の備忘録として具体的になにをやっているのかを記していく
1 登ったあとにクライムスキンを手に塗る
クライミングやってる人に向けて作られたハンドクリームがあるので、これをクライミング後に塗り込んでいます。用途が用途なので気持ち指の回復が早いように感じる。あと手の馴染みが早いのでサッと使えるのは魅力的。
2 メモAを使う
あかぎれや擦り傷に使う医薬品の軟膏がメモAなのですが、言ってみればホールドで指皮を擦っているのでこれを使うのは理にかなっているし、クライミングやっている人はだいたいこれのお世話になっている。ベトベトして5分は何もできなくなってしまうが、確かに回復は早いように感じる。寝る前のおまじないとして塗っている感じ。
3 ニベアとグリセリンカリ液
これは単純に保湿のために使っている。手軽にケアできるのと調達が容易なので手元においてすぐ使うのがいいと思うし、そうやって使っている。保湿は間違いなくやったほうがいいので、ケアしたいけどどこから手を付ければいいかわからない……という人はまずはニベアみたいなハンドクリームで保湿するところからはじめて、クライミングの強度と頻度が上がってきたら2,1と手立てを考えたほうが安上がりかもしれない。
みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」
胃を痛める本がついに出た
昨年、ついにみずほ銀行の新システムが稼働した。
苦節19年という長い歳月の中どのようなアプローチでここまでに至ったかをシステム開発の視点から論じた本が本書である。
# 本書の大きな章立て
本書は大きく分けて3つの内容で成り立っている。
- 新システムの特色、移行に当たり配慮した点を技術面で論じる
- 新システム導入前に発生した大規模システム障害の内容、原因、対策
- 新システム導入後の展望(頭取のありがたいインタビューつき)
本書で一番胃を痛める内容、システム障害
実はこの本で一番面白いのはここである。周囲に同案件に関わっていないからこそ笑ってみることができるというのはあるが、一番切迫感のある内容(ここだけ熱量が違う)とその後の冷静な分析は、この本の面白さの七割はしめている。
旧システムは経営統合前のシステムであり、統合時に各種データを結合したことによるもののみならず、初期設定が80年代であることからシステムの陳腐化や通信量の増大により障害が発生した(2011年3月の震災時の義援金振り込み集中によるものはこれが一因)ものであり、担当者は処理件数の上限を知らなかったためバッチ処理を夜間に行いきれないため日中にまで障害が及んでしまったことなど、システムの陳腐化と担当者の認識誤りがシステム障害を長びかせてしまったとしており、一つの必然と一つの誤りが大規模障害につながってしまうという恐ろしさを覚えた。
もう一つは経営層の決断の遅さ、システム投資を行わなかったことへの批判である。これは出版社がIT系の日経コンピュータであることからそのような論点を挙げているし、事実であるが実際問題として投資効果が視覚化しにくい分野に資本を投下するのはなかなか難しいことではある。(結果としてサンドの大規模障害により投資せざるを得なくなったのは悲劇である)
自分はエンジニアではなくどちらかといえば帳簿を見る人間であるので経営層と同じ立場に置かれたとき、システム刷新という決断を導き出せるかという点で胃が痛い思いをした。
ただし同決断は銀行などの大企業特有の社内政治が大きく絡むところではあるため、ここにしか目を向けなかった経営層を糾弾するのは当たり前ではあるが。
どこで胃をいたくするかは人次第
この本はエンジニアならシステム改修や刷新時の苦労話で胃を痛めるし、管理者であればシステム障害に当たり、解決に全力を挙げさせるため一時サービスを全部止めるというようなシビアな決断を求められたときに自分はどうするのかという場面で胃痛を覚えるという、自らのストレス耐性を図る本になっている。
このような本は自らの経験によらず同様の判断を求められたらどうするかを教えてくれる本であるし、そういう意味合いで読めなければただの胃がいたくなる本もしくは物見遊山になってしまう。心して読むべき本である。