論ずるに値しない。

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背教者ユリアヌス 読了

やっと読めた本

 実は背教者ユリアヌス、高校時代から読みたいと思っていて機会がなく読めていなかった本なのである。
今回ついに機会を得たので読むことができた。

最後の異教徒皇帝、ユリアヌス

 古代ローマは古くはギリシアの神々を信仰する国であった。ゼウスとかのあれである。
 しかし、時代が下るにつれキリスト教の誕生、そして爆発的な普及、国教へと変容していくことになる。そもそもローマ皇帝とは複数の公職を兼ねた人の総称である。(執政官、最高神祇官護民官、軍最高司令官など)キリスト教の国教採用、及びキリスト教との皇帝が誕生することにより徐々に古代からの伝統が破棄されていく。
 そのなかでギリシア・ローマの神々を信仰し、ギリシア哲学に傾倒していたのがユリアヌスなのである。もともとキリスト教徒が突如変心したというわけではない。
 異教徒皇帝といわれるようになった現実がまた古代ローマの終焉が近く感じられ悲しく思えるのである。

感想

 ユリアヌスをよく書いた本というより初期キリスト教の振る舞いを悪し様に書いた本という感想。
 だからといってよくないというよりも、ユリアヌスをここまで詳しく書いた小説もほぼほぼ類書がないし、同時代を題材にした本もほぼほぼないことを考えると読む価値はあったといえる。
 寛容さを良しとした古きよきローマ帝国が好きな人はそれを取り戻すための最後のあがきを読めることの幸せをかみしめるべきだろう。

背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (中) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (中) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)