論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

* 日本の歴史 江戸開府読了

 江戸時代についてもう一度勉強しようと思って読んだ。
 この本は徳川家康の半生から江戸開府,三代家光までの江戸幕府の基盤をどのように整備していったかという観点から記述した本である。
詳しい説明は読んでもらったほうが間違いないので割愛するが,舌を巻くのが属人的なものではなく,法や制度によって地盤を作ったこと,
封建的な関係を構築しつつも鉢植えのよう大名を移動できるように仕組みを作ったことである。この制度により要所に譜代,親藩大名を配置したりと機動的な運用が可能となった。その上に軍役などにより一定の財政負担を強いることにより諸藩の動きを
セーブするなどなるほど周到であるし,狸と呼ばれる理由もよくわかる。だがここまで基盤を整備することにより二百年の太平をつくり上げることができたのだから
大したものである。
 ところで,このような周到かつ強固な基盤を築いたことにより千年の帝国を作ったところもある。アウグストゥスである。
両者に共通するところは人よりも制度や法をつくることに注力したことである。属人的な仕組みは長持ちはしない。制度により職責や
職域,能力に左右されない仕組みや官僚機構を整えることによって平和を維持することができると考えたのだか偶然なのだかわからないが
この二人が時代や東西を異にしつつも結論を同じにしたのは興味深い。そしてその結論はいまも異なることはないように思える。
この次の巻は鎖国に関する本。制度は作ったが,西洋の科学や宗教が流入してきた近世日本。ここからどのように鎖国に向かうのかというのも
江戸時代初期のダイナミズムの一つであるように思えるので次も楽しみである。

 

日本の歴史13 - 江戸開府 (中公文庫)

日本の歴史13 - 江戸開府 (中公文庫)