論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

つかってみよう情報開示制度

冬のコミケに出すおまけの記事が宙に浮いてしまったので公開。3Pぐらいの分量なのでほんとにおまけですが非常に有用な制度だと思うので参考にしてどんどん開示請求してみてください。

 

** 趣旨

 

 情報開示制度は公文書等の管理に関する法律(平成二十一年七月一日法律第六十六号)及び行政機関の保有する情報の公開に関する法律

(平成十一年五月十四日法律第四十二号)に定められている制度で

官公庁が業務により作成した文書を特別な事情がない限り公開しなければならないというものです。本制度はこれまで非公開とされてきた文書について

主権者たる国民の「知る権利」にこたえるものとして制度化したものであり,その制度の行使を法で認められています。

 

** 根拠

 

 公文書等の管理に関する法律(平成二十一年七月一日法律第六十六号),具体的な開示手続については行政機関の保有する情報の公開に関する法律

(平成十一年五月十四日法律第四十二号)によって法定されております。

** 開示範囲

 

 歴史的に価値を有する文書については(歴史的公文書)国立公文書館に請求すれば閲覧をすることができます。そのほかの行政文書については

個人情報が記載されている場合はその部分を黒塗りで,存在の有無を開示するだけで個人情報その他機密情報に抵触する場合は存在の有無それ自体を

回答することはしませんが,それ以外であれば開示請求があり,かつ文書が存在した場合開示されます。つまり防衛機密,外交機密などの機密指定が解除されていない

文書以外はすべて開示することとされ,開示請求したものの文書自体が存在しない(作成していない)場合は存在しないむねを回答してくれます。

 

** いわゆる特定機密保護法案との関係

 

 情報開示制度への影響が懸念される特定秘密保護法ですが,情報開示制度との影響はないかあったとしても軽微なものであるといえるでしょう。

特定機密文書への指定は法により暗号,軍事機密,外交機密に該当するものと法に指定されているためです。ただし,一度特定秘密と指定した情報について

米国のように一般市民が秘密解除請求を行えるとする条文がないために秘密指定された文書が解除されるまでその存在自体も不開示にされる,という状況については

否定できないでしょう。

 特定機密保護法案によって影響が出る好事家の方は最先端なミリオタの方か外務省ウォッチャーの中でもよりエッジに近い方ではないでしょうか。

 

** 実際の開示手続のやりかた

 

 実際の開示手続は行政文書開示請求書(http://www.soumu.go.jp/menu_sinsei/jyouhou_koukai/pdf/060419_1_A1.pdf

に必要事項を記入し,収入印紙300円)貼り付けの上開示先の省庁に送るだけで手続きは完了です。

 文書は所定の場所へ出向いての閲覧と写しの請求が選択可能です。(写しの請求の場合開示決定後実費請求がきます)

 平日の勤務時間中での閲覧指定日が多いと思われますので霞が関近辺でお仕事をされている方,学生の方以外は素直に写しの請求をした方が無難でしょう。

 実際の文書内容を指定する必要がありますが,文書番号及び発出日時がわかっている場合はそれを記載し,そうでない場合

「××事業の△△について□□の決定を行った文書」などなるべく内容を特定した文書を書いた方が後日照会の電話が来なくてお互いに楽だと思います。(何もやっていない

場合でも平日突然総務省であったり法務省から電話が来たらビックリします)

どうしてもわからない場合はどこまでの文書がほしいのかを事前に自分の中で決めておいて「○○事業開始の意思決定を行った文書」や「○○に対する処分について」

などどの局面の文書がほしいのか決め打ちしてしまって構わないと思います。ただし「○○事業に関する文書」などとすると広範になってしまうため閲覧に行く時でも複写を頼むときでも

苦労すると思うのでよほどレアケースや数件しか実例がみられないもの以外に関しては避けた方がいいでしょう。

 自分の場合は次回の記事において取り上げたいと考えている地方自治法に書かれている「資金の確実かつ有利な運用」とは何かを当時の自治省が判断を下したものについての文章を求めた

ときの開示請求書が記事末尾に掲載した文書です。あて先は総務大臣などの行政機関の長,送り先は各省庁のHPにおいて明記されていると思いますのでそちらを参照してください。

 

** 珍奇な開示もやってくれる

 

 自分は試していないのだが,「宇宙人が侵略してきた場合のガイドラインがあれば開示してほしい」という内容の開示請求もどうやら可能なようである。
 

 http://d.hatena.ne.jp/softether/20120620

 
 この場合事前に情報開示担当の職員の方が電話連絡をして「あるわけないから取り下げれば収入印紙も返せるがどうするか」という照会の連絡が来たようである。

 以上のようにあまりにも情報開示が珍奇すぎる場合半笑いで確認の電話がくるおそれが十分にあるため好事家の方は十分に覚

悟の上開示請求をした方がいいだろう。

 

** 文書が存在しなかったら

 

 文書が存在しない,もしくは不開示を決定した場合公印,割り印を押したうえで不開示決定通知書が送られることとなる。

この際,行政手続法の規定通り不開示になった理由を付してくれるのでこれをもとに補正や再度申請を行うこととするべきである。

 もちろん行政不服審査法をもとにした不服申し立ても可能ではあるが文書自体が不存在であるという以上申し立てようがない。

申請者がとてつもない陰謀論者である場合は話は別。だが,機密であるなどの要件に該当しない限り原則として開示するべきものであるために

不服申し立ては現実的ではないだろう。存在を確信しているのならば他省庁もしくは国立公文書館で歴史的公文書の指定を受けているかどうかの確認を行うべきである。

 

・情報公開窓口一覧

 

e-govにまとめているページがあるのでこちらを参照してください。
 
 

なにかとホットな原子力規制委員会も当然情報開示請求の対象となりますので興味のある方はこちらに開示請求をやってみるというのもいい記念になるかもしれません。

 

情報開示請求の見本

 次項に書式を補足する形で掲載します。基本的には開示請求を行いたい文書が特定できる内容を記載すればなにも難しいことはありません。お役所は基本的に優しいので同じ省庁であれば提出部局が異なっていても転送してくれるでしょう。(少なくとも県レベルではやってくれます)

情報開示請求で重要なのは

・住所をしっかり書く(閲覧日時の指定もしくは複写の送付先になるため)

・開示したい文書を特定できるように詳細に書く(文書番号が付番されているのを知っている場合はそれを記載すれば足りるはず)

収入印紙をしっかりはる

・返信用封筒も忘れない(忘れても大丈夫だと思いますがあとでなんだかんだ言われないように用意はするべき。切手までは貼らなくても大丈夫なはず)

・平日つながる電話番号を「必ず」記載する 請求書記載内容で文書が特定できなかった場合は連絡がきます。

 

といった感じです。公文書の開示自体はさほど難しくないですし国レベルになると専任の担当者がいるので比較的スムーズに対応してくれると思います。

 また,要綱などももしかしたら開示される可能性もあるので個人的に取り組まれている事項について知りたい場合まず開示請求をしてみるといいと思います。

 もっというと,皆さんが思っている以上に情報開示には積極的であったり協力的な職員が多い印象です。

 せっかく保有する権利ですので一件当たり300円で国のお仕事を見れるので機会があればやってみてはいかがでしょうか。

 学生の方だとゼミや卒論でもここまでやっている学生はほとんどいないと思われますのでほかの学生と差がつくと思います。

 公務員志望の方については官公庁がどのような対応をしてくれるかを見る機会であり志望する官公庁の仕事ぶりを見ることができる数少ない機会ですので開示請求手続きを実際にやるとともに今後の職場探しに非常に有意義なものになるものと思われます。