論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

いまさら聞けない災害に関する法律について

本題の前に

 本記事を作成するにあたり、熊本地震被災されたみなさまにおかれましたは、このたびは大変な状況下におかれておりお見舞い申し上げます。
 直接的な被災地支援はなかなか行うことができず、また支援がなかなか届きにくい状況下とは思いますが被災自治体はもとより地方、政府問わず継続的な復興支援を行っていくことと思いますのでまずは失われた生活基盤を徐々にではありますが取り戻していかれますように。

災害復旧にかかる法律の射程について

 今回の震災において多くみられたのが災害復旧に関する法制に関する周知不足及びマスメディア、国会議員の理解不足また事実誤認である。以下災害発生前から災害復旧事業までの法律の射程について記述する

災害前

 災害前は防災・減災の観点から災害発生時の対処方法及び処理計画を策定するよう法律上求められている。これが災害対策基本法である。この法律において防災計画から災害発生時の警報の伝達や避難、応急措置、復旧に対する金融措置についても規定されているが、あくまで災害対策の基本法でありこの法律をもととした特別法において規定がある場合は特別法の規定が優先される。後述する法律が整備されているため、本法律においてみるべき項目は 災害発生前の基本計画等の「準備」である。
 乱暴な言い方をすれば災害対策基本法は災害前の準備について規定した法律といえる(いえません)

災害発生直後

 災害発生直後は各種社会基盤の被害状況の確認及び国民(住民)の生命及び財産を守るため被害のなく、収容人数の多い公共施設において避難所を設置し、衣食を提供する必要がある。このような災害発生直後において適用される法律が災害救助法である。
 この法律では救助の種類並びに災害の拡大を防ぐための立ち入り検査、避難所設置のための費用の負担についての国の責任などが規定されている。熊本地震においては四月十四日に本法の規定の適用が内閣府より適用することが発表されている。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo_tekiyou.html

災害復旧期

 災害の発生から一定期間経過し、収束がみられた場合被害を受けた社会基盤並びに公共施設を復旧するための事業が開始される(いわゆる災害復旧事業)。
 輸送体制の復旧のために道路については選考して着手されることが多いが、決壊した堤防、破損した学校や病院などを現状復帰させるまた現状のままでは災害を防げないと認められる場合は改良事業を行う。
 この際の事業については災害復旧事業債の起債が認められ市町村が起債することとされるが政府保証が黙示的になされている(起債前の事前協議があるため)ことはもちろん、後に交付税措置がなされる。
 しかし、災害復旧事業においては国においても財源が限りあること、他地域においても災害がありその復旧の必要性があることから枠が決められている。   この総枠を著しい被害を受けたため大きくするという趣旨において「激甚災害」の指定がなされると、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づき枠をかさ上げされる。
 激甚災害の指定においては激甚災害指定基準に基づいて、各分野ごとに被害状況の査定を行い、被害額が基準を越えた場合閣議にまわされ、閣議決定を経ることにより激甚災害の指定がなされることとなっている。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/gekijinhukko/pdf/index_01.pdf
 つまり、激甚災害の指定は市町村・都道府県の被害状況調査を行った上で、各省庁が査定を行った上で行わない限り行うことはない。
 一見するとなにを悠長な、と思われるかもしれないが本法の趣旨は「災害復興」であるため、被害総額の算定及び必要な箇所のスクリーニングがなされていることが大前提なのである(財政措置の必要性もある)
熊本地震においては指定までの標準処理期間を大幅に短縮された四月二十五日に指定されており、異例といえよう。 (近年は指定を早くする傾向がみられるが、それは大規模災害が頻発しているからといえるだろうが定かではない。)

射程

  • 発生前 災害対策基本法
  • 発生中 災害救助法
  • 大震災復興に向けて 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律
    となっており、盛んに論じられている「激甚災害の指定が遅い」というのは失当といえるだろう。むしろ早いぐらいであり、平成23年の即日指定のほうがプロセスをとばしておりおかしいのである。
     この査定がどんぶり勘定すぎると復興に要する費用が大きく計上され、交付税措置を行うための財源がないためにあたらしく財源をもうけるか何かの税率を上げる必要がしょうじ、国民に必要のない負担になるおそれがある。
     復興特別所得税などはその一例といえるのではなかろうか。所得税被災地住民においても当然に課税される以上、被災地住民が被災地復興のために生活のために稼いだカネをむしりとられる(サラリーマンの場合は源泉徴収のためほぼ確実にむしろとられる)ため避けたいところである。
     また、今回の地震においては補正予算を編成した上で財源確保を行っていることを申し添えたい。
     以上のことを長々と書いたが当然間違いもあると思われるため、鵜呑みにせず条文や内閣府のサイトなどを熟読されたい。
     心情面の支援については専門外であるため記述することは控えたい。