消費税10%の論議をするなら軽減税率などの導入の是非を問うべきだ
いよいよ現実味を帯びてきた消費税の税率アップによる10%。
消費税の根本的な問題である逆進性により持たざる者の負担はさらに増えていくばかりである。そのため軽減税率ないしインボイスによる
低所得者への還付の必要性が問題となる。
そこで議論に挙げられるのが軽減税率の導入である。軽減税率とは生鮮食料品などの生活必需品に限っては通常の消費税率より低い税率を定めることによって
低所得者への救済を図るというものである。実はこの軽減税率への導入検討はすでに国税局が検討を行っている。
http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/46/takada/hajimeni.htm
検討結果としては事務量増大と軽減税率を導入したとしても逆進性の解消を行うことはできないという観点から軽減税率の導入には消極的というものであった。
(さらにいうと単一税率が望ましく、貧民救済はよその部署でやってね。という無責任な内容)
事務量の増大はまずうそであろう。日本ではかつて消費税の代わりに物品税が存在していた。この物品税、教育目的であったり生鮮食料品にあっては無税という
制度であったためその当時の資料は残っているであろうからこの資料を引き継げば比較的事務量は少なくて済む。ただし、逆進性の解消という観点からは
まったく解決になっていないのもまた事実である。
次にインボイス制度の導入を検討すべきであるがインボイス、つまり納品書を保管して年末にまとめて申告するという制度はまずもって無理が生じるだろう。
還付手続きは確定申告をやったことがあるものならわかるとおり仕事をしながら行うことは非常に大きな負担である。
さらにいうのなら低所得者層にこの処理が可能かどうかという根本的な問いを行う必要がある。(これは低所得者をバカにしているのではなく貧すれば鈍するであったり、
ワーキングプアなどの問題を検討する必要があるためである)
私としてはインボイス制度ではなく軽減税率導入のほうが泣きを見るのは我々公務員でみんなハッピーという結末が望ましいように思う。
ともあれ、ここまで税率が上がってきてしまうと低所得者層の救済を行う必要があることは事実である。この際に必要になる対策を考えないで10%になるのを
みるだけであったり、反対とだけ声を上げるのはいささかスマートではないやり方ではないだろうか。
増税不可避な異常、生活者は反対を唱えるのではなく次善の策を取る段階に突入したのである。