論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

ジェイムズ・ジョイス 読了

* ジョイスとは
 ジョイスの詳しい業績はWikipediaにて参照するとして、ジョイスがなぜこんなに評価されるかというのは
考えるべきである。
 まず、ジョイスは作品の内容が評価されているわけではない。(とはいえ面白くないわけではなく、ほんとに内容が評価されていないということはない。)
ジョイスは表現技法を新たに編み出したから評価されている。これが「意識の流れ」とか、「内的告白」と呼ばれる技法である。
 この技法は文章を書く際に行う感情の整理などをせず、普段考えていることをすべて書き出すというような手法であり、
理路整然とした文章を良しとしている状況下できわめて目立った(この技法を最初に行ったのはジョイスではないが…)
読んでいると人物が何を考えてて何を考えていないのかがわかるし、移入度も違う。整理しないでありのままを記すことは近年
技法として認められたもので、この技法がポストモダン文学に結びついていく(と私は考えている)
* ジョイスとの出会い
 ジョイスとの出会いは高校受験を控えていたある日、突然「ユリシーズ」の新訳が出て、これを手に取ったこと。
試験当日の昼休みに、「こんな本が世の中に存在するのか」と大きな衝撃を受けた。それからジョイスの虜である。
* 感想
 ジョイスはその良さと事績を説明するのに非常に苦慮する作者であるが、この本は障害から業績までをわかりやすく概説している。
なので、読んでいて新しい発見やほぐれていく感覚を覚えるのだが、これを読んで読みたくなる人は少数だと感じた。
 間口が狭すぎる作者だから仕方がないのだが、読んだことのある人や興味のある人が読めばさらにジョイスを深く読みたくなる
のは間違いない。私は再読を始めた。いままで枕元に置いてあったユリシーズを。

 

 

ジェイムズ・ジョイス (Century Books―人と思想)

ジェイムズ・ジョイス (Century Books―人と思想)