論ずるに値しない。

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所得再分配すべきという自縄自縛

 消費税増税議論,トリクルダウンの失敗により一部において所得再分配のしくみたる税制を見直し
より弱者に所得を分配できるように税制改革をするべきであるという言説を目にする機会が増えた。
 この理論は金持ちから税金をより多くせしめて貧乏人を支援する政策を実行するべきであるという意見が大半であるが
この主張をするものは等しく前回の所得税増税がどのような理由で行われ,今現在どのように使われているのかを振り返るべきである。
復興財源のための期間限定所得税増税は庶民に大きな家計への打撃を与えたがその予算は一部執行残がみられるなどダブつきがみられた状況である。
このことのみでは庶民も増税されているのが悪い,富裕層にのみ課税すべきであったとする意見もわかるがそれでは富裕層とは所得をいくら持っている人間で
どの程度まで税率を引き上げるべきなのかという議論を見たことがないのである。
 所得再分配のしくみは税制のタテマエである。本当に所得を再分配させたいのであれば富裕層から直接庶民へカネが下りてくる仕組みを作るしかないのである。
自分としてはなるべく国家の介入を避けた形が望ましいと考えているが(リバタリアンなので国家の干渉は少なければ少ないほど良いと考えている),現実的なのは
特定分野に限った寄付金控除の増枠だろう。この場合の特定分野は奨学金にかかるものであったり,社会保障にかかるもの,団体に寄付を行った場合とすればよいだろう。
 所得再分配を税で行うということは国や地方自治体にピンハネすることと,使途を定めないでやらせることを同意したうえでのことと認識すべきであろう。
寄付金控除の増枠であれば直接富裕層が庶民へカネを落とすし,国はその分税額控除すれば済むため干渉も少ない。事務量も少ない。(バカな富裕層が
確定申告をしなければ二重の再分配すらもあり得る)こんなに素晴らしいことはないように思うのであるが,残念ながら現在の日本の風土において寄付を行うという
文化は根づいていない。
 こういうところこそアメリカを見習うべきではなかろうか。