論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

支出のしくみ 入札

** 入札

予算が成立し、次年度を迎えたらいよいよ本格的な支出事務の始まりであるがそのまえに論ずべきことがある。それは入札制度についてである。

入札制度の趣旨は一社に契約を偏らせないことにより事業の公平性を担保し、かつ市場原理をうまく利用することで低予算で事業を行うことを目的としている。

 入札制度にも種類があり、一般競争入札会計法29条の3第1項)、指名競争入札会計法29条の3第3項)、随意契約会計法29条の3第4項)

の三種類がそれにあたる。なお、入札についての詳細な手続きや実態などについてはすでに数多くの書籍が出されているためここでは原則論と注意事項だけ述べることとする。

*** 原則

 原則として一般競争入札を行うこととされている。その理由は理由もなく指名競争入札随意契約を行うと入札制度本来の趣旨を失うことになるためである。

また、入札を必ず実施しなければならない金額、物品が法律により規定されていることにも注意したい。

*** 一般競争入札

 一般競争入札を行う場合行政側はあらかじめこのような費用になるだろうという見積もりを独自でとっている(積算といわれる)。

応札する業者側はこの金額で請け負うという額を業者がわからないように入札し、複数社の中で最も価格が低くかつ想定金額が近いものが

落札される。この際に重要なのが一円入札は可能なのかということである。工事などの事業については最低落札額が想定されておりそこから極度に低い場合は

候補から外されることとなっている。これは安易に価格の低い業者を選定することによる事故防止を図るとともに不当なダンピングを行わせないようにするためである。

*** 指名競争入札

 指名競争入札とはあらかじめ入札を行う業者を行政側が指定し、入札を行う方式である。随意契約と異なるのは法律上「二社以上から見積もりを徴さなければならない」

と規定されていることとがある。また指名競争入札に参加する資格を定めることができる。これについては行う事業や地域により資格が異なるため参加業者は

その都度確認する必要がある。

*** 随意契約

 随意契約は文字通り好きな業者を行政側が選んで契約することができる制度のことである。入札の一種類とされるが実際にはただの契約と変わりはない。

以前はこの随意契約を乱用することにより入札制度の趣旨を逸脱した契約が多く散見されたところである。この制度もこれまでの不祥事から法律改正が行われ

随意契約を行うことができる金額が厳格化され、かつ随意契約を行う場合その理由を支出前の負担行為において明記することが求められるようになった・

*** 入札のフロー

 入札の流れを最後に記述する。入札制度は非常に長期間にわたるため応札側ももちろんだが公募する側も非常に多くの神経を使うことになる。これらの

苦労や制度的問題点について述べることは私の職務経験上難しいことと類書が多く出回っていることや本記事の趣旨に逸脱するため今回は割愛する。

公告(入札する事業の概要を広く掲示する)

入札(実際に業者がこの金額でやるという意思表示を示す)

契約(入札金額をもとに実際に契約を交わす)

納品(契約に基づいて製品を納品する)

検査(納品された製品が求められた仕様を満たすか検査を行う)

支出(契約に基づいて金銭の支払いを行う)

*** こぼれ話 入札金額が同じだった場合どうする

 ないようで結構ある話として「入札金額が同じ場合業者の決定はどうするのか」という問題である。

実はこの場合くじ引きで決められる。まるでドラフト会議である。

そのため入札も最後は神頼みとなるし、行政側もこの業者にやってもらいたいという思惑も思惑通りいかなくなったりするのである。

それで泣いたケースがよくあるので笑えないという工事担当者の悲鳴も聞かれるほどだ。

 しかしこの決め方室町時代にやってすごいおおもめにもめたきが・・・