論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

肚が据わった公務員になる!読了。

 標記の通り読了いたしましたので感想を供覧いたします。(公務員文法)
作者は市町村職員からキャリア官僚まで一通り勤められた方なので実感のこもった記述が多かったという印象。しかし、やはり若手市町村職員や県庁職員の意識というのはうまくひろえてないなあというのが田舎に小役人たる自分の感想でした。

・この本は公務員が読む本ではない
 この本はいわゆる「キャリア官僚の俺様の華麗な仕事術」という本ではない。更に実務能力について書いた本でもない。この点で実際に働いている公務員は得るものは少ない。
何故なら嫌という程見えてる現状を噛み砕いて説明して、いわゆる「上がり」ポジションはどこなのかということを勝手に決めて書いているからだ。
 繰り返しではあるが、この本は実情をかなりリアルに書いているのでこれから公務員になろうと考えている学生や転職先としての公務員を考えている人は一読してほしいと感じた。

・著者のいう肚の座った公務員ってなんだ
 一言で言うと役割を認識した上でそれを実現できるために勉強とか交流をしなさいよ。それを定年間近までやってたら上がりポジションとしての大学教員とか出版、市長選出馬などが見えてくるよ、っていうお話。
 申し訳ないけど、現状若手はここまで考えられるほど余裕はない。いわゆる大変な部署にいる人間はもうその日を乗り切るだけで精一杯なのだ。仮にやる気があると問題点が見えてくる。これを改善しようと解決策を考え出して起案、部長まで決済だ!となるが、どうしても地元の有力者に気を遣って込み入ったことをしようとしない上長がそれのハンコをおさない。押してくれないと何もできない、やれるには日常業務だけ。という悪循環に取り込まれてしまい心に問題を抱えたり腐ってしまう。こういう現状がある以上、若手は役所内のキャリアパスがみえないどころか仕事の意義すら見失ってしまうのだ。新卒で入った人間は結構転職考えたりするのもこの妙に裁量があるんだけど、妙にやれることの少ない現状がある。そんな仕事つまらないよね。何十年も腐らず仕事をできる人ってそれはそれで肚が座ってるんだろうけど、なろうと思ってもなり方がわからないとなりようがない。

・市町村職員のやる気ない問題
 著者は市町村職員にやる気のなさに結構苦言を呈しているが、それは試験が簡単だからとか国と比べてやれることが少ないからじゃない。やる気がないから市町村職員になるのだ。私自身市町村職員だが、なった理由が非常にしょうもなく、なりたくてなったわけではないので、これでやる気を出せと言われても非常に困るのである。
 ただ、やる気はないが仕事ができないわけではないのが市町村職員の勿体無いところ。彼らはやれといわれたことは確実にやってのける。それはもう文句のつけようのないくらいに。そして役所というのは体質的に外からの圧力に非常に弱い。それだったら住民が積極的にあれをやれこれをやれという方が早いし、確実だろう。
市町村職員に対してはやるのを待つよりやらせるようにし向けた方が絶対によろしいだろう。

この本の感想は一言で言うと「だろうけど」という言葉に尽きる。それができるには越したことがない「だろうけど」。やろうとしたけど、できなかった。という言葉が私からは出てきてしまう。公務員なんてこんなもんよね。