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官公庁会計のしくみ 決算 決算統計(前編)

*** 決算統計

 決算統計は俗称であり,正しくは決算状況調査と呼ばれる。自治体が記帳していた出納記録をもとに収入の分類,支出の分類,他会計から繰り入れた分類,赤字か否か

などをチェックするために作成される。通常この決算統計は六月の終わりから七月の初めまでに作成することが求められ都道府県の担当部署でのヒアリングをもとに修正を加え

都道府県が取りまとめたうえで総務省へ提出される。ここでは単式簿記会計を採用している一般的な自治体が作成する表について解説する。

なお,表自体の開設は自分が職務において作成した経験のある公営企業におけるものであるため財政担当部署が作成するものと一部差異可能性のあることを付記

しておく。

**** 10表 施設及び業務概況に関する調

 記載する事項は次の通り。事業の開始年月日,供用開始年月日,対象となる地域の人口,総事業費とその内訳,職員数を記載する。この表のみ

前年度から積み上げとなる数値が存在する(総事業費とその内訳がそれである)

 この表においては単純に事業開始年月日,供用開始年月日など当該事業のいわばプロフィールを記入することとなる。作成する際の注意点としては

事業費の積み上げについてである。決算においては単年度のみの起債でよいのであるが総事業費の項目のみこれまでの事業費+決算年度に要した事業費であることに注意が必要である。

**** 21表 費用構成表

維持管理に要した費用を入力する表。職員給与,手当,臨時職員への賃金,法定福利費など人件費に関するものから地方債支払利息,光熱費,通信運搬費,修繕費など

の前年度要した金額を記入する。後述する32,33表との違いは営業費用,営業外費用以外に要した費用について記載したものであり具体的な営業に要する費用ではない。

(公共下水道事業における決算状況調査32,33表は公共下水道事業における汚水処理費などのより具体的な費用について分析を行う表であるのでこれらを控除した表

として費用構成表が設けられているものと思われる。)

**** 24表 地方債に関する調

 借入先別,利率別に償還した地方債の費用を計上する表。この表において重要なのは「どこで借り入れたか」ではなく「利率が高い借入はないか」という点である。

現在補償金免除繰り上げ償還を奨励する制度が財務省が行っており,この制度を利用する(させる)ためには一定割合の高利率で借り入れていることが条件となるためである。

補償金免除繰り上げ償還については様々な条件,事務が存在するが会計に関する分野というよりも財政や行政事務に相当すると思われるため本稿では割愛する。

**** 26表 歳入歳出決算に関する調

 企業におけるバランスシートに相当する表である。料金収入,地方債借入(収入として扱う),国県からの補助金特別会計であるならば他会計からの繰入金を

収入の部として扱い,支出に関しては工事を行った費用内前年度からの繰り越しに要した費用,職員給与,繰越額などを計上する。

 この表はいわば総括表としての意味合いがあるため作成する際は最後にまわすのがよいだろう。他会計繰入金の計上においては40表を作成してからでないと

正確な金額は計上できないおそれがあるためである。