論ずるに値しない。

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支出のしくみ ヒアリング

 予算計上を行ったら次に行うのは部内ヒアリング、そして財政担当部署とのヒアリングである。

ヒアリングというのは文字通り聞き取り調査のことで文書で示したことや質問したいことを実際に面と向かって会話することで

解消しようとする制度である。単なる調査であるため会議とは意味合いが異なる。

 ここで気になるのが財政担当部署であるが、財政課や財務課など自治体によって名称が異なるが部署ごとに作成した予算案を歳入と合うように調整し、議会に

上程する部門のことである。

 では、ヒアリングではどのようなことを聞き取りするのだろうか。調査のポイントは三つある。

 一つは、提示された数字は根拠があるのか否か。お手盛りの数字をほいほいと要求通りにつけてしまうと必ず破綻してしまうため特に高額な予算については

必ず積み上げの根拠、数的根拠の提出、説明を求められる。この際に予算作成部署が根拠として用いるのが業者からもらった見積書であるとか建設物価などから独自に積算した

数値である。予算編成作業の大部分はこの作業を行う。

 二つ目は不要な事業ではないか検討するということだ。

昨今の税金の使途に向かう厳しい目は当然予算編成段階で考慮される。不要な事業だと判断するか否かは多数の材料があるが多いのは「それをうちでやる必要があるのか」

と「費用対効果があるのか」ということである。つまり無駄遣いはさせないようにするために要求段階で無駄だと思ったものは予算をそもそもつけないのである。

 三つ目は要求した金額が妥当なものかどうかである。少しでも安くできるのであればその方向にしたいため、金額の妥当性にも目を配る。そのため最初の数的根拠をもとめているのである。

このようにあげてみれば単純であるが、ヒアリングで好印象だからと言って要求通り予算が下りるわけではないのである。

予算規模全体で勘案する

 ヒアリングの最大の目的は予算規模全体で考えて優先的に配分する順番を決めることである。ご存知のように官公庁は税により賄われており税外収入などの収入は非常に少ない。

つまり、入ってくる金額が初めから決まっているのにもかかわらず膨張する歳出をどのように抑え込むのかというのが予算編成の最大の目的である。

 では、優先順位とはどのように決定されるのか。これはどこの自治体も策定している長期計画に策定されている優先順位に基づいている。

○○市基本計画などに記載されている事業がそれである。これらの事業はロングスパンで考えなければならないものと、将来的に取得したいものを複数年度で

分割して取得するモノなど自治体によってさまざまである。

 次に無視できないのが首長の公役に該当するか否かである。首長公約はいわば住民との約束であり、これを反故にするような予算編成は非常に難しい。

よほど喫緊の問題が発生しない限り優先順位は高く設定されるだろう。

 次にシーリング枠の策定である。シーリングとは予算の歳出上限を設けることで歳出の上昇を抑制することを指す。最初から総額が決まっている以上

どこかを切らなければならない。そのためにどこが切れるかを把握するために行うのがヒアリングなのである。

ヒアリングの思惑

 一言でいうのならば事業は小さく、歳出も小さくである。これは前述したとおり税外収入の増加を見込めないためどうしても歳出のほうを制限するという

お役所独特の事情によるものである。事情を聴くというよりもあらを探して予算をカットできるところを探すという仕事がヒアリングなのだ。