論ずるに値しない。

論ずるに値しない文章を毎日書く。内容は読んだ本や今まで考えてきたことがメイン。

まとめること批判批判

まとめブログを叩いてこの会社を叩かないのはおかしい
* ぎょうせいという出版社
 法律、行政系の大学、職業に就いている人以外にはなじみのない会社だが、法規、例規(行政機関の内部規則や条例、施工規則など)、判例集などを出している会社。

** この会社のやっていることはまとめサイトと同じ
 出版事業の中核となるのは前述したとおりだが、まとめブログを叩くのならばこの会社も同様の批判をされてもおかしくないだろう。この会社のやっていることは行政機関が公費を投じて調査・研究を行ったものをただまとめて本にしているだけなのである。
 まとめブログはいわゆる2chなどの匿名掲示板の書き込みを必要なところのみ取り上げるという方式が主であるが、この会社もやっていることは同じである。下手をすればただ見出しと索引を付けておしまい。この出版物を官公庁に売っているのだからさらにタチが悪いといえるだろう。

* 必要な事業
 ここまで書いておいておきながら、自分はこのぎょうせいという会社もまとめブログも批判にさらされるべきではないと考えている。なぜならこういう雑多な情報を「まとめる」という事業は今ではなく将来にむけて非常に有用な事業であるからだ。

** 逸失、散逸する情報
 出版物でもインターネット上の情報も常になくなる可能性を秘めている。法規、例規も同様で非常に多くの改正、失効がなされており、これらを各部署ごとにフォローアップを行うのは現在、過去、将来に至るまでかなりの手間と人員を要することになるからだ。これらを外部が必要なものをまとめ、本にしたり、ブログなどの見やすい形式にして公開することは情報のアクセスの利便性も向上するなどいいことずくめなのだ。
 インターネット上の情報も残念ながら黎明期と呼ばれる時代の資料は失われつつある。海外のサイト、Waybackmachineなどである程度アーカイブを行う試みはされてはいるがそれでも拡大する情報空間の中ではすべてをフォローしきれずこの情報を持っている人間を捜す、という手段をとらざるを得ない。
 2chの場合過去のログを掘るためにはDATファイルにアクセスする権利を購入するか、類似したサービスを利用して自らの欲する情報を探すしか手段がないのが現実である。

*** ネット上の情報もなぜか本になると叩かれない不思議
 こういう状況を危惧して、過去に教科書に載らない日本インターネット史が発売された。この本はいわゆるインターネットの歴史を記したものではなく、個人サイトなどが日本のインターネットの、さらに狭いコミュニティの中で与えた影響やなしたことを年表形式にまとめたものであるが、不思議なことに賞賛こそされたが批判はなされなかった。つまり、「まとめる」という作業については批判というよりむしろ労力を割いたことに感謝されているのだ。

* アフィリエイトで儲けることが悪なのか
 ここで問題となるのがアフィリエイトである。これはいわゆる広告収入の一つであるがこれを利用しているサイトほど批判にさらされている。
 「参加してないのに金儲けするのか」「人の著作で金儲けするのか」というのが多い。
 確かにネット上の匿名の書き込みといえども著作権は認められるという判例がでているがまとめの際に著作者を割り出し、連絡を取った上で掲載をすると言うのは匿名という都合上ほぼ不可能に近い。仮に申し出たとしても本人と証する情報を提示する手段が少ないし、2ch閲覧、書き込みソフト上の履歴も改竄のおそれを否定することはできないのが現状である。

** 広告収入の対価はまとめ作業なのか、書き込みなのか
 上記の問題点以上に考えないといけないのが広告収入の対価はなんなのかという問題である。書き込み自体にたいする対価というのであるならば確かに批判者の言い分は正しい。しかし、読み手は書き込みを読んでいるようで読んでいない。スレッドのタイトルと「会話」の流れを読んでいるのであって、決して「>>1乙」などの書き込みを読んでいるわけではないのだ。そういうのを読みたい人間は直接本スレッドに行くのだから。
 以上のことを考えるとやはりまとめという作業に対する対価であると考えるのが妥当だと考える。

* 心情的に納得のいかない人のために
 論理的に納得はいっても心情的に納得のいかない、またはふりあげた拳をなにもしないまま降ろすのはできない、という人が多い。こういう人はアフィリエイトなどの広告をクリックしないことや貼られているリンクから商品を買わないように努めてはいかがだろうか。こうすればまとめた人間には収入は入ってこない。(広告を月極で掲載してるなら話は別)まとめブログと本の違いは中身を購入前に見ることができるか否かである。非常に労力のかかったまとめでその労をねぎら痛いと思ったときだけ広告をクリックしたり商品を購入すればいい。いわゆる投げ銭である。
 気に入らないからといって批判し、排斥をしてしまったらそこから先になにもでてこないし、転載禁止前の2chの有力な導線の一つであったまとめブログをなくすと新しいおもしろい人がそこにやってこないおそれすらある。というより一部の掲示板ではすでにそれが始まっておりなんとも異様な雰囲気になっている。活気のない掲示板に書き込むことほど空虚なことはないので自らの首を絞めることになりかねない。全体を考えると必要悪として認める必要があるのではなかろうか。

以上