論ずるに値しない。

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ハッカーと画家

 久しぶりに個人的におもしろいと思った本でした。私がもともとコンピュータ、そしてソフトウェアのプログラミングなどに興味を持っていたことを差し引いていてもまだ目を通しておくべき本の一つだと断言できます。

 

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

 

 

この本はハッカーになるにはとかそういうものではなくて、ハッカーと画家は似ていてアイディア勝負であること、考えていることはより楽に、よりダイナミックに世界を帰ることを目指しているということだ。

つまりハッカーは画家のようにアーティスティックな一面がありつつも社会を変革するイノベーターの一面を持っている人のことを指すのである。本書はハッカーとして社会に変革をもたらした経験を元にかかれている(ネットショッピングのシステムも、ウェブにソフトをおいて、ブラウザで動作させる仕組みも作った人の話であるからその当時の息づかいや「熱さ」)も読むことができる。

 

  • 富とは何か

 この本がさらにおもしろいのは「富」

とは何かという根元的な問いに一定の答えを見いだしていることにあるといえる。

いわゆる自分たちのいう「富」とは金銭的な豊かさであるが、それはほんの一要素にすぎないという。時間や自分の感情を自由に使えることを「富」というのであるという。

コンピュータの世界はぼくのいるいわゆる「お役所」と違いかなりカジュアルでいってみれば自由かつエキサイティングな世界だ。そしてワンアイディアで莫大な金銭を得ることもできる。そういう世界に身を投じている人から富とは時間と考えを自由に発表できることであるという考えを聞くのは非常に興味深い。社会とはこういう富を民主主義が現れてきてから獲得されつつあると考えていたが、いわゆる「会社」が考えや時間を縛り付けている。だからこそハッカーという人種は自由を求め、そして自らの技術で世界を変えていこうと考えていたのだったとしたら社会の秩序と公平を守るために働いている私のような田舎の子役人は富なんてものは存在せずただいたずらに時間と考えを縛られているのではないか。そう思わずにはいられなくなった。

 「こういう考え」もあるよという軽い気持ちで読んでみても非常に示唆に富んだ本なので是非読んでみてほしい。

以上