論ずるに値しない。

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地方公営企業会計基準の見直しに係る財務諸表の試算

 先日総務相のほうより公営企業会計基準見直し、移行した場合の財務諸表はどのように変化するのかを試算するためのファイルが発表されました。

 試算となっているが、かなり気合の入った内容となっています。

 

・このファイルが意味するものはなにか

 このファイルを用いて試算を行うためには前提として「資産調査が完了している」ことがあります。

資産調査とは公営企業が保有している施設・財産の取得金額を庁舎なら五十年というふうに定められた減価償却期間で減価償却を行ったうえでどれだけの資産価値が存在するかを調査することを言います。

つまり、このファイルを見ることができる状態にある現在、地方公営企業は当然資産調査は完了しているんだよね?

ということです。今回適用にならない公共下水道事業(適用されるかもですが)においては、古いところでも五十年以上前の資産から現在の資産に至るまで価値を調査する必要があるため、膨大な時間が必要になるでしょう。

適用されない公営企業においても資産調査を早期に行っていくことは有意義であると考えます。

(個人的な意見ですが、官庁会計は最終的に一般会計においても用いられなくなっていくのではないかと考えています。企業の実態と乖離しすぎているので。)

 

・示される膨大な赤字

 今回の試算では膨大な赤字額が計上されることが予想されます。

 これまでは公債費を「資産」として扱っていたものが、全て「負債」に計上されるのですから。

黒字にはならないんだろうな、と思いながら作成したが、結果は大赤字になっているというのもありえるでしょう。

その他にも多くの勘定科目が変更になっておりこれまでの会計制度での算出方法が使い物にならなくなる以上、これらに対応するシステムの作成も必要となってくるでしょう。(これに関しては要する費用の一部を補助するという旨が総務省より示されています。)税金の無駄遣いというより「カネがないから移行できない」という言い訳をさせないための措置ですね。

 

・なぜこのタイミングに発出したか

 おそらくはこの時期の議会の時期にあわせて算出させることで、移行前の議会の根回し、住民理解などをいかに円滑にやっていくのかということを考えさせる為かと思われます。

議会などは会計制度の違いによってこのような状況になっているということを説明すれば納得はしないが理解は得られるでしょう。しかし、住民にとってこの事業は赤字を垂れ流しながらも必要な事業なのか?ということは考える機会を持つ必要があるといえるでしょう。会計制度の移行には膨大な時間とカネ、人員が必要になります。(最低でも専従二名は恒常的に必要となってくるはず)移行する前に廃止するなり、民間に譲渡するなりを検討する時間も残り二年近くと少ない状態にあります。この時期に発出し、機会を設けなければギリギリであろうと考えているのでしょう。

 

 自分はおそらくこの事業が二十代で最大の仕事になるであろうと考えています。これからも情報発信等を行い間口が狭いですが共有することができればと思います。