論ずるに値しない。

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官公庁が「利益」を出すとは何か   

  近頃インターネット上のいわゆる公務員批判では、「利益を出さないくせにもらいすぎだ」「まず利益を出せ」という意見がよく見受けられます。

公共団体はその職務性質上(バスや水道などいわゆる公営企業は除く)利益を出すことがないまたはすることができません。住民票などの写しはあくまで実費(人件費等も込みで利益は含めていない)での提供としているためこれにはあたらないはずです。

 では、公共団体における「利益」とはなんなのでしょうか。「利益」の定義が定かであれば今後の行政運営のあり方について一定の方針がつかめるはずです。  

行政組織が求めるべき利益とは何か

 まず、お役所の好きなフレーズである「公共サービスの充実こそが住民、国民にとっての利益である」という考え方があります。

この考え方は「住民票の発行や各種施設が充実したり安くなったり客への対応がよくなれば、周りまわって住民の利益になるはずである」というものです。

一見、聞こえはいいようですがこの考え方は積極的にサービスを利用しようという者しか利益を享受できず何もしない人間にその費用を負担させているのです。

たとえば、住民票とりに市役所いったときに目にする番号札をとって待ってたら機械が呼び出す機能は実際住民票とりにきた客とサービス提供者である職員にしか得はなく、

取りに行く用事がない人はその費用を住民税や市民税から賄われており、得することは何一つもない。これがこの考え方の反証となりえるでしょう。

そしてサービスはよくなるだろうが金銭的な負担はトータルでは増加しているのが実態でしょう。  

 次に「単純にいくらカネをもってこれたか」という考えかたですがこれは非常に市場原理にのっとっておりすばらしいと思いますがこちらは公平・平等でなければならない行政団体にとっては大きなジレンマとなりえます。単純に利益を得たいのであれば、住民へ通常出すべき補助金をカットし、かつ絶対に必要であるサービスの対価を高くすればそれですむのです。

住民票一枚千円とか水道料金1立方メートルあたり1万円とかにすればすぐに利益は出るでしょう。一般的な企業との違いは「なければ生活することができない」ということです。東京電力でさえ国の許可がないとできないので当たり前ですが電気料金の値上げが常識的な範囲内でとどまっています。赤字を解消したいのであれば大幅な値上げをすれば一年でも一ヶ月でもすぐにペイすることができるのにもかかわらず。  

 つまり、お役所様の利益は一元的な定義をすることが不可能なのです。    

 以上のことから、「利益を出せ」という意見を持っている人はまず、公務員に求める利益とは何かを明確にすべきでしょう。批判とはするだけでなく対案を持ってはじめてできるものと考えていますしそうであるべきだと思います。意見なく批判だけしてる人は論ずるに値しない。  ちなみに自分は「利益」は利便性であることと公平であることであると思っています。利便性とはいちいち住民票取りに行くために半休取ったりしなくてもいいように市内のコンビニでとることができたり、税金などを口座振替だけでなくカード払いができるようになるなどのライフスタイルにあったサービスの提供をすべきだし、それが両者にとってプラスになるでしょうから。